労働法の改正
解雇手続きの簡素化、迅速化、補償額も低く

オランダの労働法(Wet Werk en Zekerheid)は今年、項目ごとに1月1日および7月1日施行の2段階で改正された。明確な理由があれば、解雇手続きは簡略・迅速化され、結果的に解雇補償額も低くなった。おもな改正点を下記に解説する。

1. 試用期間:

 <これまで> 
無期限雇用契約の場合、最長2ヵ月まで使用期間を設けることが可能。有期限雇用契約の場合、その期間が2年未満の場合最長1ヵ月まで、1年以上の期間の場合最長2ヵ月まで試用期間を設けることができる。

 <2015年7月1日以降>
上記規則に加えて、雇用契約期間が6ヵ月未の場合、試用期間を設けることができない。
 同一使用者との間で継続して締結された雇用契約(2つ目雇用契約)で合意された試用期間は、原則無効となる。ただし、継続する雇用契約において合意された職務等が、前の契約と全く異なる場合はこの限りではない。

2. 競合避止義務条項:

 <これまで> 
書面による締結で、かつ、被雇用者(社員)の署名があれば、雇用契約の有期限、無期限に関わらず競合避止義務条項を設けることができる。

<2015年7月1日以降>
有期限雇用契約で規定された競合避止義務条項は、原則無効となる。ただし、企業経営または業務上の重要性として使用者側にとって当該条項が必要であることの理由が十分に当該条項中に記載された場合は、この限りではない。

3. 有期限雇用契約の延長の有無に関する使用者の通知義務:

 <これまで>
使用者に通知義務はなし。

 <2015年7月1日以降>
使用者は、有期限雇用契約が終了する日の少なくとも1ヵ月前までに、被雇用者に対して書面による契約延長の可否を通知する義務がある。有期限契約を延長する意志がある使用者は、その場合の条件も通知する必要がある。使用者が通知義務を怠った場合、怠った期間に応じた補償の義務が生じる。たとえば、1ヵ月前までに通知した場合の補償額は月給1ヵ月分、完全に通知を怠った場合には、1ヵ月分+1ヵ月分、2週間遅れて通知した場合には月給1ヵ月分+1ヵ月×2/4。 一方、この補償を請求する被雇用者の権利は、通知義務が生じた日から3ヵ月(すなわち雇用契約終了日から2ヵ月)が経過した時点で時効消滅する。

4. 有期限雇用契約の更新に関するルール:

 <これまで>
連続更新は合計36ヵ月まで

<2015年7月1日以降>
 有期限雇用契約の場合の更新は、連続する3回、合計24ヵ月まで可能。連続更新雇用期
間において中断期間が6ヵ月プラス1日を超過した場合には、新たな連続更新を開始できる。

5. 解雇手続き: 

 <これまで>
解雇事由の種類に関わらず、UW V(オランダ社会雇用省の委託を受けた独立行政法人)ルート(方式)の手続きと、簡易裁判所ルート(方式)の手続きの、どちらでも使用者が選ぶ。

<2015年7月1日以降>

解雇が使用者の経済的理由に拠る場合、または、被雇用者の疾病に拠る長期就業不能の場合は、UWVルート(方式)の手続きのみが可能で、簡易裁判所ルート(方式)を選ぶことはできない。UWVルートは、裁定のち被雇用者が簡易裁判所に不服申し立てを行えば、裁判官が再審査して裁定を下す。 それ以外の理由、すなわち、被雇用者の職務上の不成績、責められるべき行動、怠慢など、被雇用者個人にまつわる理由による解雇の場合は、簡易裁判所手続きとなる。申請から4週間以内に審査が開始され、かつ上記3の予告期間を考慮して裁定されるため迅速な労働契約解除ができる。

6. 解雇補償金: 

<これまで> 
契約解除補償金(契簡易裁判所が指針とするガイドラインに従う)

<2015年7月1日以降>
 
トランジション補償金(制定法で定められた規則)。これにより、補償金額をかなり低く抑えることができる。無期限雇用契約の解除に加え、少なくとも24ヵ月継続した有期限雇用契約の解除の場合にも適用できる。 勤続年数の最初の10年間は、勤続年数1年につきグロス月給の1/3、10年を超える期間については、1年につきグロス月給の1/2として計算される。グロス月給は、休暇手当、13ヵ月目のボーナス、固定シフト手当、その他の固定手当等を含む。 補償額は上限を75,000ユーロ、当該被雇用者の年収が75,000ユーロ超の場合はその年間収入額を上限とする。 なお、2020年1月1日までの例外措置として、解雇時に50歳以上で勤続10年以上の場合、50歳以降の1年につきグロス月給1ヵ月分として計算されるが、被雇用者25名未満の使用者については適用除外。


(2015/09)
Source:NFIA