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新税制「Tax Act 2001」

オランダはこれまで何世紀にもわたって貿易国家として活躍してきたが、今後も貿易立国であり続けるために、政府は起業や海外からの投資を促すべく、競争力のある税制を創り出してきた。法人税率は他のヨーロッパ諸国とほぼ同水準であるが、外国企業がオランダを海外活動の拠点として選ぶような魅力を生み出すためにさまざまな工夫をしてきた。広範囲にわたる租税条約網、保税倉庫制度、企業の将来的な課税取り扱いを事前に協議できる事前税務裁定の制度などを整備してきた結果、その税制はEU各国と比べて企業に有利なものとして名を馳せるに至っている。

 オランダ税制の中核となっているのは、法人税と個人所得税(給与源泉課税を含む)、付加価値税である。このほか、個人にかかる税金として、相続税、贈与税、譲渡税などがある。

2001年1月1日から、オランダは経済と雇用機会の刺激をねらいとする新税制(2001年税制)に移行する。基本税率が引き下げられ、給与生活者が固定非課税控除という形で優遇を受ける「雇用に基づく割り戻し」制度が導入される。給与所得に対する課税を引き下げるとともに、直接税から間接税へのシフトを進めることによって、オランダの経済構造と国際競争力は一段と強化されることになる。また、環境課税重視の姿勢をとったことは、持続可能な経済成長に大いに貢献するものである。  この新税制を構築する際の基本的な考えは、現行の財政構造に組み込めるように、できるだけシンプルな制度を作り出すことであった。2001年税制の制定に伴って、数多くの税制改正がなされたが、主なものは以下の通りである。

「ボックス・システム」*1 の導入
投資利回り税の導入。投資/株式は課税対象となり、富裕税は廃止される
現行の課税階層区分による税率の引き下げ。もっとも高い階層で60%が52%となる
各種控除の変更
基礎控除の「課税割り戻し」(heffingskortingen)への変更
VAT(付加価値税)の引き上げで17.5%から19%に変更
オランダで就業する特定外国人を対象とする35%ルールを30%ルールに変更。新ルールの本文は未発表だが、現行35%ルールと同様のものになるとみられる。所得税率の引き下げに伴うもので、手取り収入に大きな影響が出るとは考えられない
資本利得税率を0.9%から0.55%に引き下げ。資本利得税率は短期間に事実上半減され、資本利得は資本利得税による減価なしに再投資に充てることが可能となる
更新準備金が再投資準備金に変更。旧更新準備金は再投資した資産が使用を取りやめた旧資産と同じ経済的機能をもっていなければならないという制限があった。この改正により、企業は市場環境の変化により敏速に対応することが可能となる
損失の繰り越し控除に制限。法人税法に濫用防止条項が加わり、企業の損失繰り越し控除に制限が設けられたことにより、特定の条件の下では損失を繰り越し控除できなくなった

事前税務裁定制度−法人税法

税制は国際企業にとって重要な立地条件のひとつである。オランダの税当局はこのことをよく認識しており、可能な限りオープンで利用しやすい環境づくりに努めてきた。オランダは、税取り扱いについて事前に確定できるという点では国際的にもっとも進んだ制度を採用しており、特定の取引や活動について税法上の取り扱いを事前に協議できることがオランダ税制の特徴のひとつとなっている。申請があれば、大蔵大臣もしくは税査察官は申請者がこれから行おうとしている事業についての税法上の取り扱いに関する協議に応じる。この結果、書面により事前税務裁定の合意が交わされれば、税査察官は、適切な情報が開示され、かつ申請内容に虚偽がない場合は、その合意にしたがって課税することになる。ヨーロッパ諸国は1999年にオランダのこの制度は競争を疎外するものとして批判したが、2000年11月には各国の大蔵大臣がこの批判を取り下げている。

多国籍企業は事前税務裁定の設定を速やかに行うことを求めており、こうした声を受けた現場の要請に応えて、大蔵省は課税規則の設定を、原則として8週間以内に行う方針を打ち出した。申請件数が現状のままであれば、未処理案件は6ヵ月以内に半減する見通しである。

オランダが世界60カ国以上と租税条約を結んでいることは、国際貿易や二国間貿易の振興に努めている表れである。この条約が締結されていれば、企業は二重課税を免れることができる。

 また、外国人を対象とする特別税制(30%ルール、*2)はオランダ税制の開かれた性格を表していると言える。この規定は、雇用主が外国人従業員の課税所得の30/70、もしくは給与の30%までを非課税手当として非課税所得にすることを認めるものである。


*1 ボックス・システム - 課税対象所得

2001年1月1日現在、3種類の課税対象所得があり、それぞれ1つのボックスにまとめられている。

ボックス1: 就業もしくは家庭労働による課税対象所得
ボックス2: 多額の利子による課税対象所得
ボックス3: 貯蓄や投資による課税対象所得

*2 30%ルール - 在留外国人に関する課税制度

外国投資家によるオランダへの投資を活発化させるために、大蔵大臣はいわゆる30%ルールを制定した。これは「特定の条件が合えば、オランダ雇用主は従業員給与に加えて、30%の特別非課税手当を給付することができる」というもの。30%手当の基礎額を算出するためには、給与に100/70の係数をかける。得られた額の30%が従業員に対する非課税手当として認められる。さらに在留外国人は、申請すれば雇用所得以外は非居住納税者として認められる。30%ルールの適用を受けるためには、従業員は以下の条件を満たす必要がある。

オランダに居住している
オランダで給与源泉徴収する事業体に雇用されている
オランダ労働市場にはないような特別な専門技術をもっている

そして、雇用主とともに、ヘールレン(Heerlen)の税査察官に申請する必要がある。オランダ税務当局に給与所得について源泉徴収することを届け出ている事業体(通常は企業)に雇用されている場合には届出期限はないが、そうでない場合はオランダ入国後4ヵ月以内に申請しなければならない。すでに説明したように、申請するには在留外国人と給与所得について源泉徴収することを届け出ている事業体(通常は企業)の両者が一緒に届け出なければならない。資格を認められた在留外国人は30%を非課税手当として受け取ることができる。従業員が非居住納税者として認められれば、その従業員はオランダにおける特定の所得のみをオランダ課税所得として申告することができる。この規則は最大で120ヵ月適用されるが、48ヵ月以降60ヵ月以内にその資格条件が依然として有効であるかどうかを判断する調査を受けなければならない。

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