検索
HOME
ソリューション

ビジネス環境

産業

ケーススタディー

ニュース

レポート

イベント

FAQ

リンク

資料請求

お問い合わせ

NFIAについて

サイトマップ
 
レポート

EU関税規則の変更 − 「メガドキュメント」

2001年7月1日から、EUの関税規則が大幅に変更された。とくに、次のような経済的影響を伴う関税特別措置に大きな変更がみられる。

保税倉庫
再輸出のためのEU域内加工
再輸入のためのEU域外加工
税関管理下での保税加工
一時輸入

今回の変更は、いわゆる「メガドキュメント(Megadocument)」(EU税関統合申告書類)の導入によるもので、これにより生じた変更のうち重要なものを、以下のとおり、順に説明する。

メガドキュメントの導入

メガドキュメントは、欧州委員会とEU加盟国との間で、数年に及ぶ折衝を経て生まれたもの。メガドキュメント策定の最大の理由は、EUの関税規則がこれまで複雑化の一途をたどっていたからで、複雑化の原因はまず、EU関税規則に例外条項が増えすぎたことだった。また、近く東欧諸国がEUに加盟することになる(だろう)という事情も含んでいた。メガドキュメントは、EUの関税規則を近代化・簡素化し、域内での調和をはかることを意図している。

メガドキュメントには、経済的影響を伴う各関税特別措置に共通に適用される、全般的な条項がいくつも定められている。なかでも重要なものは以下のとおり。

遡及承認
代表国承認
トランスファー(認可施設間移送)手続
税関当局の審査期間
事務処理方式(FIFO)

遡及承認(retroactive authorization)

メガドキュメントでは、各関税特別措置について、税関当局が遡って承認を与えることを認めている(ただし保税倉庫を除く)。一定の条件を満たしていれば、申請書提出日の1年前に遡って承認を受けることができる。遡及承認の申請は、当該関税手続を行なってよいという承認はまだ得られていなくとも、その関税特別措置に必要とされる諸条件をすべて遵守していた場合に行なうことがでる。ただし、過去の期間において関税特別措置の各条件をすべて遵守していた事実を、税関当局が確認できなくてはならない。

すでに触れたとおり、保税倉庫に関する関税特別措置については遡及承認を受けることはできない。しかしながら税関当局は、申請者が申請時点から直ちに保税倉庫に関する関税特別措置にしたがって業務を行なえるように仮承認を与えることができる。そして(後日)税関当局が承認書交付を決定すれば、申請の時点に遡って「保税倉庫」に関する関税特別措置が適用される。

代表国承認(single authorization)

代表国承認とは、EU内のある国の税関当局が出した承認が複数のEU加盟国で有効になるということ。つまり、EU内への貨物輸入に際して、EU内のどの国で申請すると効率やコストが最適になるか、各企業が検討の上選択することができる。この方式の最大の利点は、通関手続すべてをEU内の1国で集中処理できる点にある。とくにEU内の複数の国に事業体を置く企業では、代表国承認の制度によってかなりのコスト削減、効率化が期待できるだろう。ただし、たとえばオランダで承認を得るためには、オランダの税関当局が申請企業の該当データ・ベースにアクセスできるようになっていなければならない。この方式においては、申請国以外の他の該当EU諸国は、申告書の管理事務的部分についてはチェックを行なわないが、輸入貨物に対する実地検査は今までどおり行なう権利がある。代表国承認は、申請企業の「主たる勘定(main accounts)」が置かれているEU加盟国の管轄税関当局が行なうこと、とされている。しかし、メガドキュメントの中ではこの「main accounts」という用語の定義が示されていないため、これが具体的に何を指すかについては、今後の管轄税関当局との折衝や判例によって定めていく必要があろう。

トランスファー(認可施設間移送)手続

トランスファー手続は、EU関税規則の簡素化・調和という狙いから生まれたもの。トランスファーとは、経済的影響を伴う関税特別措置について承認をうけた企業もしくはその代理者が、EUの税関指定域内で貨物を輸送することを言う。つまり、まだ税関の管理下にある貨物の輸送に関する手続のことである。トランスファー手続は、経済的影響を伴う関税特別措置すべてに適用することができる。すなわち、再輸出のためのEU域内加工(輸入税納付猶予方式)、税関管理下での保税加工、保税倉庫、一時輸入の各関税特別措置である。トランスファー手続で輸送が行なえるのは、以下の組み合わせの場合となる。

EU域内への入国通関申告地(place of entry)と、認可事業者の施設との間
ある認可事業者の施設と、別の認可事業者の施設との間
認可事業者の施設と、EU域外への出国通関申告地(place of exit)との間
 

これによりもっとも簡素化される点は、複数の認可事業者の間で非EU貨物(EU外貨物、つまり税関管理下にある保税貨物)を輸送する場合には、税関書類やいかなる関税手続も不要になることである。たとえば非EU貨物を、オランダ国内にある保税倉庫認可事業者からフランス国内にある「再輸出のためのEU域内加工」認可事業者へ出荷する際に、保税貨物輸送書類(Tドキュメント)がいっさい必要ないということである。これは考慮に入れるべき簡素化であり、認可事業者の事務処理負担を大幅に軽減する。

税関当局の審査期間

メガドキュメントにより生じたもうひとつの変更点は、税関当局が承認申請を受けてから回答するまでの期間が限定されたことである。期間は、経済的影響を伴う関税特別措置すべて(保税倉庫を除く)に共通で、30日間とされている。保税倉庫の申請については、60日間。今後、税関当局は上記期限内に審査結果を回答しなくてはならなくなった。

事務処理方式(FIFO)

メガドキュメントによって、関税実務の事務処理に先入れ先出し法(FIFO=First In First Out)の原則が義務づけられた。2001年6月30日までのEUの関税規則でも、たとえば「再輸出のためのEU域内加工(輸入税納付猶予方式=suspension system)」などの関税手続については、すでにFIFOの事務処理方式が義務づけられていた。今回の変更で、再輸出のためのEU域内加工(戻し税方式=drawback system)、再輸入のためのEU域外加工、保税倉庫、税関管理下での保税加工、の各手続もすべてFIFO方式となった。FIFOの事務処理方式は、税関の管理下にある貨物にのみ適用される点に留意のこと。企業が、税関の管理下にある貨物と、すでに輸入手続きをすませてEU内で自由に流通させてよい貨物(EU内貨)の両方を保管している場合、FIFO方式が義務づけられるのは、税関の管理下にある物品のみとなる。

(出所:オランダ経済省企業誘致局)

戻る トップに戻る