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歴史的なEU拡大 ―― 25ヵ国へ

2004年5月1日、EUは新規加盟10カ国(チェコ、キプロス、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニア)を迎える。この拡大に伴い、加盟国は25カ国に増加、EUの人口は7,500万人増のおよそ4億5,000万人に達し、世界最大の経済圏が誕生する。

今回の拡大は政治的にも大きな意義がある。目的は自由で民主的なヨーロッパの創造である。第二次世界大戦終結から共産主義崩壊までの期間、ヨーロッパは人為的に二分されていた。相互不信と戦争の脅威のために、自由な西ヨーロッパ諸国は鉄のカーテンによって東ヨーロッパ諸国と分断されていた。分断状態のヨーロッパ大陸を再統合すれば、恒久的な平和と安定が実現するとともに、経済面でも発展と繁栄が進む。。

EUは原加盟6カ国から、1973年に9カ国、1986年までに12カ国、1995年に15カ国と拡大していった。今回の新規加盟10カ国については、EUは1994年に「加盟前戦略」を策定し、環境、輸送体制、インフラ、および農業近代化を中心に、加盟候補国だった10カ国に対する支援と積極的な投資を行ってきた。EU拡大の規定には政治と経済で満たされるべき要件が定められており、民主主義の原理を尊重し市場経済を機能させるよう加盟候補国に要求している。また、EUの法律と司法体制に準拠して制度上の変改を推進するようにも求めている。

かつてこれほど多くの国が一斉に加盟したことはなく、加盟候補国の経済・社会の包括的な変革のためにこれほど周到な準備が行われたこともなかった。今回の拡大に向けた活動は10年前にすでに開始されていたが、特に加盟候補国の変革状況を評価に入れれば、ここまでは大成功であるといえる。時代錯誤の経済体制からの転換は首尾よく進められてきた。銀行や産業は民営化され、市場と価格は自由化された。新たな管理体制が敷かれ、公正な競争も確保された。新規加盟国のなかには現加盟国よりも自由市場が進展した国さえ現れた。

EU拡大は今回の10カ国加盟で完了するわけではない。ブルガリアとルーマニアは2007年の加盟を目指して現在加盟交渉中である。トルコもまた加盟候補国である。2004年12月の欧州理事会において、報告書と欧州委員会の勧告をもとに、トルコが政治・経済面でコペンハーゲン規準を満たしているかどうかが判断される。規準を満たしていると判断されれば、EUとトルコの間で加盟交渉が直ちに開始される。

これらの新規加盟国を迎え入れてEUを拡大することについては、政治的・経済的・文化的メリットがある。

これまで述べてきたように、ヨーロッパに平和で安定した地域が増えることにより、ヨーロッパの全市民の安全と繁栄がより確実なものになる
経済的に急成長を続ける国々の国民7,500万人が加わることにより、新規加盟国と現加盟国の双方において経済成長が加速し雇用が創出される
新規加盟国が環境保護や犯罪・麻薬・不法移民撲滅に関するEUの対策を採用することにより、ヨーロッパの全市民の生活水準が向上する
新規加盟国の変化に富んだ歴史と文化を吸収することにより、文化・思想交流が行われEUが奥深いものになる
地政学的にみると、EU拡大によってヨーロッパ大陸のみならず近隣地域にもさらなる安定がもたらされる。また、国際問題におけるEUの役割も大きくなる

日本にとってもEU拡大で多くの機会が生じる。単一市場が拡大されれば、同一の関税法、貿易規定、行政手続に準じることで、日本の輸出業者や投資家は恩恵を受けることになる。今回の新規加盟国においては、加盟初日から対象となるすべての取引に対して関税と付加価値税に関するEU規則(第6次VAT指令)が適用される。新規加盟国は完全にEU単一市場に取り込まれ、拡大EU内の全域で物品の自由移動が可能になる。

(詳細については、http://jpn.cec.eu.int/ およびhttp://www.eu2004.ie/を参照。本稿は同サイトから要約)

(出所:オランダ産業投資ニュース 77号/2004.4.7)

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