EU規則 − 「一本化」政策の進展
「出島」が長い間日本への玄関口だったように、オランダも「ヨーロッパの表玄関」として長年多数の日本企業を受け入れ、それら企業の欧州事業展開とその拡大を支援してきた。
EU(欧州連合)ではさまざまな調和への努力が広範に行われており、通貨、付加価値税(VAT)、EU会社(欧州会社)法、個人情報取扱規則などの一本化が進められているが、まだまだ多くの国で、独自の規則や慣行が存在している。オランダでは、企業もアドバイザーも、他の欧州諸国における経験が豊富なことに加え、オランダに欧州本社を置いている国際企業も多いことから、EU各国で異なる規則や慣行に関するノウハウの大きな蓄積がある。
EUの付加価値税制は一本化されたが、加盟国間で運用に若干の違いがみられる場合もあるため、加盟国間で税制上の不当な競争が発生しないよう、新規の対欧投資の誘致インセンティブに関する運用規範を設けている。また、各国の歳入に対する企業の利益配分を適正化するため、EU各国にあるグループ企業それぞれに、適正な利益を計上することを求める移転価格ガイドラインを定めている。
このようなさまざまな規則や規制が行われているなかで、多数の日本企業は、真の意味での欧州企業の創設を目指して既存の複数の販売会社や製造会社の統合を進め、ひとつの欧州本社が全体を統轄する態勢を整える方向で動きだしている。1ヵ所に欧州本社を置いて各国に子会社を持つ企業もあれば、EU加盟国のいずれかに会社を1社だけ設立して、各国に支店を置く方法をとっている企業もある。
EUでは、EU域内での企業活動を促進する指令が、ここ数年の間にいくつも採択された。とくに、「欧州会社法」の成立と関連規則の整備を命ずる指令をEU閣僚理事会が採択したことにより、「欧州会社」における労働者の経営参加に関する規則が統一されるため、日本企業にとっても今後、複数のEU加盟国にまたがる事業を展開しやすくなるだろう。「欧州会社法」により、日本企業は複数の加盟国で活動する場合でも、社内規則や管理・報告システムを統一できるようになる。この新しい規則の利点は、EU域内で活動する外国企業が、事業を行う国ごとに異なる法律に従う必要がなくなり、欧州会社法に則った統一規則を遵守すればよいという点である。
EUで活動する企業に適用される規則の一本化を図る指令として、上記のほかに個人情報データ・ファイルに関する指令がある。これはEU域内で収集・処理されるすべてのデータに関して取扱規則の統一を図るもので、顧客であれ従業員であれ、あらゆる個人の情報の保護を強化する規定が盛り込まれている。したがって、域内で活動する企業は、その現地事業所の規則と処理プロセスを整備し、EU指令に抵触しないよう顧客および従業員の個人情報を取り扱わなくてはならない。ただし、数年前からの個人データ・ファイルに関する指令の施行経験に基づき、指令は原則維持するものの、当面は地域によってある程度異なるルールが容認されている。
要するに、EUの指令と一本化策は、EU域内で活動する国際企業が営業手法や活動方針を全社的に統一することを支援するものである。ただし、事業が行われている国の法律をよく理解し、従う必要があることについては、依然として変わっていない。
(出所: Dick Hoogenberg, Ernst & Young Tax Advisors Amsterdam; Laura Becking, Ernst & Young Affiliated Law Firm in the Netherlands)
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