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「カスタマー・ケア・センター」
新しいビジネス・ソリューション

昨今の経済情勢では、貴重な顧客を惹きつけ、維持するための競争は激しさを増す一方である。顧客ケア戦略の成否が企業の業績を書き換える可能性もあることを理解している経営者にとって、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)は最重要課題となっている。その結果、多機能でハイテクなカスタマー・ケア・センターが、従来型コール・センターの地位を奪いつつある。

カスタマー・ケア・センター(CCC=Customer Care Center)は、かつてはアウトバウンドのダイレクト・マーケティングやキャンペーンのハブであり、比較的単純な活動、たとえば顧客アンケートの回答を得るところという認識だったが、現在では高まる顧客の要望に合わせて、はるかに高度なものとなっている。顧客は、電話、電子メール、ファックスで大手企業のサポート・センターに連絡する場合、自社の製品やサービスに対する深い専門知識や地元の中小企業のような顧客密着型のきめ細かい心遣いとをもって対応してくれることを期待している。

CCCを成功させるためのもっとも重要な投資は、顧客に直接対応する要員への投資である。サポート・センターの採用パターンは、顧客の要求水準が高まるのに応じて変化してきている。顧客は、自動車のボンネットの中で異音を発しているのは何かを知るために技術者と直接話したいし、eビジネスのソリューション・パッケージが期待どおり効果をあげない理由を知るためにソフトウエアの専門家と直接話をしたい、と望む。顧客ケアの担当者は、自分がサポートしている商品や製品に詳しいのはもちろん、教育水準が高く、技術に明るい専門家でなければならない。さらに、ヨーロッパ全域を対象とするCCCの場合は、その顧客の自国語でサービスを受けたいという要求を満たす必要がある。

ビジネス環境が急速に変化しているなか、CRMの役割に対する戦略的な見直しが進んだこともあって、CCCが一種のブームとなっており、今ヨーロッパでは、CCCが急増している。マーケティング・コンサルティング・トレーニング会社のフロスト・アンド・サリバン(Frost & Sullivan)によれば、1999年にはヨーロッパに1万2,750のCCCがあったが、2006年までにはその数が2万8,000にまで増えるとの予測も出ているほど。

オランダは、CCCの立地としてヨーロッパでもっとも人気のある場所のひとつであり、ダイムラー・クライスラー(Daimler-Chrysler)、ノベル(Novell)、ソニー、DHLなどがすでにCCCを設置している。

CRM市場の発達とそれにともなうCCCの性格づけに関する影響は、ヨーロッパ市場のダイナミクスが大きく変わるなかで生じたものである。企業は、顧客ケアをそれぞれの国内で行う方法を選んできたが、市場統合とハイテク通信技術の急進展により、従来の戦略は時代遅れとなってしまった。こうした変化に対応して、より効果的な顧客サービス活動を行うための新たな立地戦略を立案するに至ったのである。

顧客が、たとえばイタリア、フランス、ポーランドにいようとも、ひとつの場所からヨーロッパ全域の顧客に対する均一かつ高水準な顧客サポートを提供するために考え出されたのが、ヨーロッパ全域を対象とするCCCというモデルである。このアプローチは、各国別には顧客ケアのニーズは限られるが、全ヨーロッパを対象にして、より費用効果の高い顧客ケア活動を実施できるというメリットを、企業にもたらすものである。米国のトランザクション・データウエアハウジング企業NCRは、アムステルダムにCCCを設置して、ヨーロッパのほぼ全域と中東、アフリカ向けに顧客ケアを実施している。このセンターは1996年に開設されたが、電子メール、電話、ファックス、ウェブベースによる問い合わせを、10ヵ国語で日常的に処理している。

ヨーロッパで人気のある顧客サービスのための組織構造としては、CCCのほかに「ハブ・アンド・スポーク」モデルがある。これは、相互に接続された地域センターのネットワークを大型のハブ施設にリンクさせるという考え方である。このモデルは、ネットワークに接続されたすべてのセンターが同じ情報と言語能力にアクセスしながら、それぞれ地元でのサポートを行う能力も維持することができるというものだ。米国のeビジネス・プロバイダー、ノベル(Novell)は、ロッテルダム近郊のカペレ(Capelle)に置いたハブ施設と、リンクさせたヨーロッパ・サポート・センターとのシームレスなネットワークを稼働させている。こうした構造を採用することにより、ノベルは地元レベルの活動に即した個別のポートフォリオを維持しつつ、ハブセンターに知識とプレミアム・サポート契約を組み合わせることができるようになったのである。

企業にとってもうひとつの選択肢は、顧客ケア機能をサード・パーティーに委託することである。これは、クオリティーの高いケアを維持しつつ、費用効果を追求できるアプローチである。オランダは、ヨーロッパでも顧客ケアのアウトソーシング・プロバイダーがそろっている国のひとつである。オランダ市場では国の規模に反比例して、顧客サポートのアウトソーシング・サービスを積極的に取り入れており、シイクス(Sykes)、ストリーム・インターナショナル(Stream International)、テレパフォーマンス(Teleperformance)、モウダス・メディア・インターナショナル(Modus Media International)、SNTなどのプロバイダーが活躍している。

労働力の質 − 第一の立地条件

教育水準が高く、複数の言語を話し、サービス精神に富んだプロフェッショナルがそろっているかどうかは、ヨーロッパ全域を対象とするCCCの立地にとって第一の条件となる。そのような人材がそろっているという点では、まず筆頭がオランダであろう。オランダ人は、複数言語を話す人材が多いことでは世界有数の存在である。人口の73%はオランダ以外の言語をひとつは話すが、EU平均ではこの比率は44%である。複数言語を話すことにより、オランダの労働者は他のEU諸国の労働者に比べて、より多くの言語で問い合わせに対応できるので、労働コストの削減にもつながってくる。

複数言語を話す人材が多いことに加えて、オランダにはかなりの数の外国籍居住者がいることもこうした状況を支える要因となっている。たとえば、ダイムラー・クライスラーはヨーロッパ11カ国を対象とするマーストリヒト(Maastricht)のカスタマー・アシスタンス・センターの要員を国外からの移住者に拠っている。

技術的要因

現在では、顧客は電話、ファックス、電子メール、ウェブはもちろん、PDA(携帯情報端末)経由でワイヤレスなサービスを受けることさえ当然のことと考えるようになっている。CRM戦略については、ハイテクで、マルチメディアを活用した顧客ケア・センターは未来の話ではなく、まさに今日、ビジネスを行っていく上での必須事項となっている。

オランダは世界でもっとも進んだネットワーク社会のひとつで、最高水準の技術を駆使したデジタル光ファイバー網が完備され、ブロードバンドではヨーロッパ大陸でもっとも先行しており、テクノロジーを重視する政府のもとで積極的な研究開発活動が行われている。アーンスト・アンド・ヤングによる最近の調査によれば、オランダはIT企業にとってのビジネス環境で、欧州ベスト4に選ばれているが、これは、多言語能力や先進インフラだけでなく、同国労働者の教育水準が高く、技術に明るいという特徴に拠よるところも大きい。

CCCの立地を考えるなら、その解決策はオランダであろう。従来から、オランダは顧客に対する高クオリティー・サービスの一貫提供のために、人材、専門知識、技術の最適な組み合わせを求める企業に選ばれてきた。そして世界経済が減速している今こそ、汎欧州事業の最適化を考える時であり、オランダは、CCCに限らず、ヨーロッパ全域を対象とした事業活動の拠点として、ソフト、ハードの両面で最適な立地条件を備えているといえよう。

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