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伊藤忠
オランダ・フード・バレーの中核大学と提携

伊藤忠商事とオランダ中東部ヘルダーランド (Gelderland)州のワーヘニンゲン大学・リサーチ・センター(Wageningen University and Research Center = Wageningen UR)はこのほど、食料バイオ分野で提携することになった。伊藤忠商事は、食料バイオを先端技術ビジネスの重点分野の一つに掲げており、今回の戦略提携で双方が食品、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの分野において補完的に協力することにより、機能性食品、食品安全、農業技術(穀物関連)、ニュートロゲノミクス、ニュートラシューティカル、環境問題などの分野での共同開発、日本企業との共同事業、日本への技術移転、スピンオフベンチャーへの投資を共同推進することを目指している。伊藤忠はすでに先端技術戦略のパートナーとして米国ロスアラモアス国立研究所、オーストラリアCSIRO、フィンランドVTTB、フランスのパスツール研究所などと提携しているが、今回のワーヘニンゲンURとの提携を活用して、食料バイオ分野での新規ビジネスを推進する

伊藤忠が先端技術戦略の提携パートナーをオランダから選んだ理由のひとつは、ヨーロッパにおける新農業技術の開発や、食品健康分野における斬新な製品の開発にオランダが大きな役割を果たしてきたことが挙げられる。オランダは食品研究に向ける研究開発投資の面では世界有数の国で、食品産業総売上の2%以上を年間研究開発費に投じている。なかでもワーヘニンゲン大学は、西欧および熱帯における農業技術において広範な知識の集積と長年培ってきた実績がある。同大学はこれまで何十年にわたり機能性食品やニュートラシューティカル、農業技術や食品安全など、食品や健康に関わるあらゆる分野での幅広い科学研究で知られている。

これまでは、ロンドンにある大洋UKが仕入れ・販売を行い、あるいは各海外現地法人が直接欧州へ販売を行ってきたが、欧州市場の需要拡大をにらみ、販売網の構築と、販売の一元化による効率アップのために、物流の中心であるオランダに設立したもの。

食に関わるすべてが集約する「フード・バレー」

世界の食品研究において確固たる評価を築いてきた結果、ワーヘニンゲン大学の周辺には食品関連の企業や各種機関が集まっている。その中には、ヨーロッパ唯一のアグリフード・ライフサイエンス分野の起業家向けインキュベータ施設もあり、この施設を中心とする地域は、「シティ・オブ・ライフサイエンス」の異名を獲得している。

この地域全体が「フード・バレー(Food Valley)」と呼ばれることになったのは偶然ではない。フード・バレーは文字どおり「食品・農業・健康をテーマとした専門知識の集積地」である。注目すべきは、企業・行政・研究機関の3者が緊密な協力体制にあることである。この協力関係によって、関係者すべてが持てる力を存分に発揮できるのだ。フード・バレーには、キージーン(Keygene)、ヌミコ研究所(Numico Research)、ハインツ(Heinz)、ネスレ(Nestle)、ジボダン(Givaudan)、カンピーナ・イノベーション(Campina Innovation)、セミニス・ベジタブル・シーズ(Seminis Vegetable Seeds)をはじめとするイノベーション力ある企業が多数集まっている。また、ワーヘニンゲン大学の周辺にはバイオテクノロジー関連の新規ベンチャー企業も増えてきている。ジーンツイスター・テクノロジーズ(Genetwister Technologies)、キャッチマブス(Catchmabs)、チェックポインツ(Check-points)、プラント・ダイナミクス(Plant Dynamics)、ポリファルマ(Porifarma)などである。また、食品関連研究で有名な研究機関にワーヘニンゲン食品科学センター(Wageningen Center for Food Sciences = WCFS)(http://www.wcfs.nl/)がある。WCFSは、ユニリーバ(Unilever)、ロイヤルDSM(Royal DSM)、カンピーナ(Campina)、フリースランド・デアリー・アンド・ドリンクス(Friesland Dairy & Drinks)、ヌミコ(Numico)、コースン(Cosun)、アフェベ(Avebe)などの欧州食品企業と、公的研究機関とが提携したユニークな研究機関である。WCFSは、イノベーションや競争前の要素技術について官民が共同で研究を行い知識を共有するという独特のコンセプトで高い評価を得ている。

その他の研究施設には:

農業技術食品イノベーション研究所 (Agrotechnology & Food Innovations)
http://www.agrotechnologyandfood.wur.nl ワーヘニンゲンURに属し、産業界や政府、国際機関のために戦略的研究および応用科学研究を行なう機関である。多様な研究施設があり、実験室規模から準工業(パイロット)規模まで各種の設備が揃っている。

国際植物研究所 (Plant Research International = PRI)
http://www.pri.wageningen-ur.nl PRIは、戦略的植物研究において世界トップクラスの研究機関である。研究テーマには、生物多様性、バイオテクノロジー、情報生物学、生物測定学、持続可能農産システム、栄養管理の最適化、エコロジカルな植物保護、病原・疫病予防管理などの分野がある。ワーヘニンゲンURに属する。

RIKILT食品安全研究所 (Institute of Food Safety = RIKILT)
http://www.rikilt.nl RIKILTは、フードチェーン(食物連鎖)に関する受託研究を行なう独立系研究機関であり、ワーヘニンゲンURに属している。主な業務は、食品の品質・安全性の評価である。食品組成、農薬、環境汚染物質、天然毒素などを扱っている。安全性や機能性の存在確認・定量化・定性評価、化学的・生化学的特性の研究について専門知識を提供している。

NIZO食品研究所(NIZO Food Research)
http://www.nizo.com NIZO食品研究所は、各方面からの受託研究を行い、乳製品・食品成分・飲食業界のための製品や生産プロセスを改善する各種技術を開発している。また、製薬業界においても、NIZOを利用する企業が徐々に増えている。NIZO食品研究所はワーヘニンゲンに近いエーデ(Ede)市にあり、設備の整った研究施設と試験用パイロット・プラントがあるため、依頼企業は生産設備に本格投資を行なう前に、新生産プロセスをテストし、調整することができる。

TNO栄養食品研究所 (TNO Nutrition & Food Research = TNO Voeding)
http://www.voeding.tno.nl TNO栄養食品研究所は、ライフサイエンス分野の受託研究機関として、基礎研究と食品・医薬品・農薬等への応用とを結ぶ存在である。健康、食品の安全性・品質のほか、製品とプロセスのイノベーションにも力を入れている。

未来を見据えるフード・バレーの理念は、「フードチュロスコープ(Foodturoscope)」によく現われている。これはパイロット・プラントで、今後数年間で食品に関するヨーロッパ首位のテスト・センターとなることを目指している。まさに収穫から加工、消費に至るまで、食と食の安全のすべてを扱うほか、製薬業界のための試験も行なうことになっている。最初の大きなプロジェクトは、「機能性食品を通じた健康の増進」というスローガンのもとに2005年に始まる予定である。

フード・バレーのもうひとつの大きな特徴は、「科学とビジネスの出会い(Science Meets Business)」というコンセプトを実践して発展を続けていることだ。食品技術、食品デザインなど各種のプロジェクトにおいて、数多くの企業が学術研究機関と協力している。これらプロジェクトはいずれもきわめて実用志向性の高いもので、学術界の成果だけに留まらず、広く世に普及する製品・サービスに結実する可能性がある。研究プロジェクトには次のようなものがある。

エクスパティーズ・センター・アグリビジョン (Expertise Center Agrivision)
農業・食品業界における映像・画像処理応用技術の開発。農業技術食品イノベーション研究所、ワーヘニンゲンUR、東部オランダ開発公社(OOST)の共同プロジェクト。

フードケア (Food-care)
食材の特性に関するマルチユーザー用データベースの開発。たとえば消費者がこのデータベースを使ってある種のアレルギーの予防に有益な食材は何かを知ることができる。これは知識センターであるケニススタット・ワーヘニンゲン(Kennisstad Wageningen)、フードステップ(Foodstep)、STOAS グリーンワイズ(STOAS Greenwise)の共同プロジェクトである。

フード・アンド・ヘルス (Food and Health)
保健産業と食品業界、ワーヘニンゲンURとナイメーヘン・カトリック大学(Catholic University of Nijmegen)の融合を目指す。ワーヘニンゲンUR、ナイメーヘン・カトリック大学、健康保険会社のアミコン(Amicon)、ワーヘニンゲン食品科学センター(WCFS)の共同プロジェクト。

フードチェーン・マネジメント・システムズ
(Food Chain Management Systems) フードチェーン(食物連鎖)管理の最適化に関する研究。ケニススタット・ワーヘニンゲン、STOAS グリーンワイズ、フェルティス(Vertis)、ワーヘニンゲン大学の共同プロジェクト。

(出所:東部オランダ開発公社(Development Agency East Netherlands = OOST))


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