コーポレート・ガバナンス・コードの改正

2009年1月1日以降に開始する事業年度より、オランダに所在する一部の上場企業においては改正された「オランダ・コーポレート・ガバナンス・コード(De Nederlandse Corporate Governance Code)」(以下ガバナンス・コード)への対応が必要となった。
ガバナンス・コードは有効な企業統治の仕組みを構築するための原則と、望ましい取り組み(ベスト・プラクティス)を規定しており、対象企業にはガバナンス・コードの適用状況をアニュアル・レポート(年次報告書)で開示することが求められる。
ガバナンス・コードが規定する原則及びベスト・プラクティスを対象企業が適用していない場合、その内容と理由を併せて開示する必要がある。

対象となる企業

以下に該当する企業は、ガバナンス・コードへの対応が必要となる。

  1. オランダ国内に登記している会社で、規制市場またはそれに類似したシステム(※1)で株式あるいは預託證券が取引されている企業。
  2. オランダ国内に登記している大会社(バランス・シートの価値が5億ユーロ以上の会社)で、MTFまたはそれに類似したシステム(※2)で株式あるいは預託證券が取引されている企業。

※1規制市場またはそれに類似したシステム:Euronext Amsterdam、Endex等の証券市場。
※2MTFまたはそれに類似したシステム:Chi-xやProject Turquoise等の多角的取引施設。
※但し、オランダ金融監督法(Wet op het financieel toezicht)が定義する「Management Company (beheerder)」に該当しない投資会社については、ガバナンス・コードは適用されない。

ガバナンス・コードの概要

ガバナンス・コードで規定されている原則及びベスト・プラクティスの概要(抜粋)は以下の通り。

T.原則

T.1

会社はガバナンス・コードの適用状況をアニュアル・レポートで開示し、適用していない場合にはその理由を開示する必要がある。

U.業務取締役会

U.1.1

取締役の任期が最長4年(再任可)である。

U.1.3

事業リスク管理体制をアニュアル・レポートで開示している。

U.1.7

内部通報者の保護制度についてウェブ・サイトに記載している。

U.2.13

取締役への報酬を開示している。

U.3

取締役と企業の間に利益相反行為が存在しない。

V.業務監査役会

V.1.7

年次またはそれ以上の頻度で業務取締役会の活動を評価している。

V.2

監査役が業務取締役会から独立している。

V.3.1

監査役の経歴等をウェブ・サイトで開示している。

V.3.2

最低1名の財務専門家を置いている。

V.3.5

監査役の任期が最長4年(更新3回まで)である。

W.株主と株主総会

W.3.1

投資家説明会(アナリストやプレスへのプレゼンテーション等)の開催情報を事前にウェブ・サイトおよびプレス・リリースで開示している。

W.3.10

株主総会議事録が、株主の要求に応じて株主総会の開催後3ヶ月以内に配布されている。

W.3.11

全ての買収防止策の内容と、防止策が発動するケースをアニュアル・レポートで開示している。

X.財務諸表監査と外部監査人及び内部監査人の役割

X.1.3

業務取締役会によって、財務諸表の正確性を確保するための内部手続が整備されている。

X.2.2

外部監査人の独立性が業務監査役会に年次で報告されている。

X.2.3

少なくとも4年に一度、外部監査の有効性を評価しており、その結果を株主総会で報告している。

X.3.3

内部監査人が存在しない場合、年次でその要否を検討している。

 

ガバナンス・コードの意義

コーポレート・ガバナンス・コード・モニタリング・コミッティ(Monitoring Commissie Corporate Governance Code)が公表した2007年度の調査結果によると、対象企業における旧ガバナンス・コードの適用状況は90%であった。今回改定されたガバナンス・コードについても、多くの上場企業がベスト・プラクティスを自社に適用すると想定されるが、ガバナンス・コードはあくまで「望ましい取り組み」を規定しているのであり、必ずしも全ての項目について同一の取り組みを行うことが、企業に求められているわけではない点に留意が必要である。

より有効なコーポレート・ガバナンス体制を構築するためには、企業の個別の状況に適した仕組みが当然必要となる。その為、ガバナンス・コードが規定するベスト・プラクティスを適用していない場合であっても、その理由が正当且つ合理的であれば、企業のコーポレート・ガバナンスの有効性をステーク・ホルダーに対して主張することは十分可能である。

 

※ガバナンス・コード(オランダ語原文、英訳文)はMonitoring Commissie Corporate Governance Codeのウェブ・サイトで入手可能である。http://www.commissiecorporategovernance.nl/home.html

 

出所:Protiviti B.V.
www.protiviti.nl
(2009/11)