日蘭社会保障協定 - 3月1日発効

日本企業とその派遣者への影響について

日本オランダ社会保障協定(正式名称:「社会保障に関する日本国とオランダ国との間の協定」)が締結され、2009年3月1日から施行された。
日本・オランダ両国の企業などから、それぞれ相手国に一時的に派遣される駐在員などは、日本・オランダ両国の年金制度、医療保険制度への加入が義務づけられていたため、保険料の二重払い、掛け捨てなどの問題が生じていた。社会保障協定はこのような問題を解決することを目的としており、この協定が規定するところに依って、日本かオランダか、いずれかひとつの社会保障制度に加入する。
この協定が対象としてカバーする社会保障制度は、日本側は「年金制度」と「医療保険制度」、オランダ側は「国民保険制度(老齢、および児童給付)」、「被用者保険制度(障害給付および失業給付)」、「医療保険」。派遣期間が5年以内の場合、原則として、派遣元国(すなわち、オランダへの派遣の場合は日本)の年金制度、医療保険制度にのみ加入し、また、両国での保険期間を通算して、日本・オランダそれぞれの国における年金の受給権を確立できるようになった。
これにより、企業も、個人も、ともに負担が軽減されることになり、日蘭の人的・経済的交流がさらに活発化すると見込まれている。

以下の情報は、オランダに社員を派遣する日本企業のために編集されたもの。文中の「派遣者」とは日本からオランダに5年未満派遣される駐在者を指す。5年以上の派遣者、現地採用者の場合は、原則、オランダ制度に加入する。

これまでのシステム

日本の本社から派遣されたオランダ駐在者には、オランダの社会保険が適用される。オランダ国内に居住する派遣者の家族全員にもオランダ制度が適用され、オランダ年金や児童手当の受給権があり、疾病や医療費にはオランダの保険が適用される。オランダの日本企業(雇用者)は、派遣者の給与から社会保険料を源泉徴収し、オランダ税務当局(Belastingdienst)に納付する。

2009年3月1日以降のシステム

日本企業の派遣者は、日本の年金制度および医療保険制度を継続し、これにのみ加入する。派遣者がオランダの制度加入免除をうけるためには、日本の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」が必要となる。これによって派遣者は、オランダの社会保障制度の対象から除外される。
オランダの日本企業(雇用者)は、「適用証明書」を持つ従業員の給与からオランダ社会保険料を徴収する義務がなくなる。
派遣者がオランダ制度の適用対象から除外されることに伴う影響については、保険種類ごとに以下で説明する。これらの措置は協定の発効日である2009年3月1日より開始された。ただし「適用証明書」に記載された発効日がこれ以降である場合は、その発効日をもって開始される。

オランダ制度の適用免除となるための条件: 派遣者の場合

  ・日本で厚生年金保険の被保険者であること(厚生年金非適用事業所の場合は、国民年金の第1号被保険者であること)
  ・日本の事業所(雇用者)との雇用関係が継続しており、その雇用に基づいて派遣されること
  ・派遣期間が5年以内と見込まれること
  ・前回の派遣終了日から1年以上経過していること

協定の対象となるオランダの保険種類

国民保険
・オランダ老齢年金(AOW年金)
2009年3月1日以降、派遣者は、オランダ老齢年金(AOW)の受給権の累積加算が停止される。たとえば2009年3月1日現在、すでに4年間オランダで就労している派遣者は、AOW年金の満額の8%を受給する権利を持つ。AOW年金は、保険料を1年支払うごとに満額の2%を受給する権利が確立される。派遣者が65歳に達すると、その居住地がオランダであっても日本であっても、SVB(オランダ社会保険銀行)は当該派遣者が、受給権を確立した金額を支給し始める。派遣者がオランダを離れる際に、それまでに自分が確立したAOW年金受給権についての確認を希望する場合は、年金記録の明細書をSVBウェブサイトwww.svb.nlから申請することができる。
2009年3月1日以降もAOW年金の受給権を継続加算したいと派遣者が希望する場合は、AOW制度の任意保険に加入することができる。詳細はSVBウェブサイトを参照のこと。

・オランダ遺族年金 ―
派遣者が2009年3月1日以降に死亡した場合、残された配偶者はオランダ遺族年金(Anw)の受給権を持たない。遺族年金の受給権継続を希望する派遣者は、任意保険に加入することができる。詳細はSVBウェブサイトを参照のこと。

・オランダ児童手当 ―
オランダ児童手当(AKW)の受給権は、2009年4月1日をもって消滅する。2009年第1四半期分の児童手当は、4月に支給される。

・特別医療費 ―
2009年3月1日以降、介護などの長期医療の費用は保険の適用を受けなくなる。

労働保険
・失業手当 ―
2009年3月1日以降、派遣者の失業手当の受給権は消滅する。

・疾病手当 ―
2009年3月1日以降、派遣者の疾病手当の受給権は消滅する。

・オランダ就労不能手当(WIA手当) ―
2009年3月1日以降、派遣者はオランダ就労不能手当を請求できない。ただし2009年3月1日までのオランダでの就労期間に応じ、派遣者には日本に帰国後にこの期間のオランダの就労不能手当の一部を受給する権利が発生する。

医療保険
2009年3月1日以降に発生する医療費には、オランダ保険が適用されない。オランダにおける医療費は、日本の海外療養費制度にて請求し、後日支払われるが、医療費本人3割負担となるため、医療費の支出に備えて派遣者は、オランダで任意の健康保険に入るケースが多いと思われる。

適用証明書

適用証明書は、派遣元である親会社(雇用者)が、日本の社会保険事務所に申請をする。取得した適用証明書の原本は、派遣者が保持するものとする。オランダ在の日本企業は、オランダ当局の査察の際に、当該派遣者にオランダの社会保険料の負担義務がないことを証明できるよう、適用証明書の写しを保存しなければならない。
2009年3月1日時点ですでにオランダ国内で就労している派遣者については、2009年3月1日からの適用証明書を申請する。適用開始はこの日から最長5年間となる。

随伴家族の場合

派遣者に随伴する家族は、オランダでの非就労者に限り、派遣者と同様、オランダの社会保障制度から免除される。家族のうちオランダで就労する者は、オランダ社会保障制度の対象となる。ただし、日本の制度から免除される5年超の派遣者に随伴する配偶者または子は、日本の制度から免除されない。

オランダ制度の適用免除となるための条件:派遣者に随伴する家族の場合

・当該派遣者がオランダ制度から免除されること
・その配偶者または子がオランダで就労しないこと

日本でのオランダ年金受給に関わる点

オランダの老齢給付では、保険料納付期間など最低加入要件がない。1957年以前のオランダ居住期間または有給の雇用期間(15歳以上)がある人で、59歳以後にオランダまたは日本で6年居住していた場合には、その1957年以前の期間が給付額の計算に考慮される。
オランダ年金の消滅時効は、原則1年。オランダ老齢年金は、受給権が発生する6ヵ月前から申請することができる。
オランダの障害または遺族給付については、オランダでの雇用・居住期間が12ヵ月以上ある人が日本の年金加入期間中に障害または死亡が生じた場合にも、給付を受けることができる。
日本の年金加入期間のみでは受給資格要件を満たさない場合、この要件を満たすために、オランダで派遣者または自営業者として就労していた期間などの保険料を納付していた期間を、重複しない限りにおいて、日本の年金加入期間に算入することができる。ただし、オランダで保険期間として扱われる期間のうち、オランダ居住のみに基づく期間は、日本の年金加入期間に算入できない。
この協定が施行されたことにより、オランダ国外(この場合、日本)に居住しているという理由で一部停止されたオランダ年金を受給していた人については、その停止が解除され、遡及して支給される。
申請窓口は、これまで(発効前)のSVB(オランダ社会保険府)から、日本の年金担当窓口(社会保険業務センター)へ変更となった。

 

関連サイト:

日本社会保険庁
・日本から協定相手国で就労する場合について
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/index.html
・協定相手国別の注意事項(オランダ)
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/attention/holland.html
・適用証明書交付申請
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/manual/contents-2.html

オランダ社会保険銀行SVB = Sociale Verzekeringsbank)
・年金受給手続きなどについて
http://www.svb.nl/int/en/index.jsp

オランダ労働者保険事業団UWV = Dutch Institute for employee Benefit Schemes
http://www.uwv.nl

 

出所:オランダ社会保障銀行(SVB = Sociale Verzekeringsbank)
オランダ労働者保険事業団(UWV = Dutch Institute for Employee Benefit Schemes)
日本社会保険庁

(2009/04)

 

*** Newsflash  12 July 2010 大使館からのお知らせ ***

オランダ大使館ではこの協定に関する個別の質問にはお答えしておりません。
詳細は下記の関係機関にお問い合わせ下さい。

日本年金機構(2010)

http://www.nenkin.go.jp/agreement/index.html

オランダ社会保険銀行(SVB = Sociale Verzekeringsbank)
http://www.svb.nl/int/nl/index.jsp

オランダ労働者保険事業団(UWV = Dutch Institute for employee Benefit Schemes)
http://www.uwv.nl/