ロッテルダム港湾局: ロッテルダム港の長期開発戦略を発表  

「今後20年を成長と移行の期間に」

ロッテルダム港は今後20年間で成長し、それと同時に、多くの構造改革も実現していく。ロッテルダム港湾局のハンス・スミッツCEO(Port Authority CEO, Hans Smits)は、「精製・化学産業は、バイオ色のより強い製造へと移行する境目の時期にある。2030年 にはエネルギーはもっとクリーンな方法で、しかももっと多様なエネルギー源から生み出されるようになる。また、輸送においてはコンテナがその重要性を一段 と高めることになる」と言う。「こうしたコンテナの問題に難なく対応できるようにするためには、輸送の効率性を高め、ロジスティック・ハブのネットワーク を国内外で発達させることが必要となる。我々は、ロッテルダム港が2030年までに効率性と持続可能性の面でグローバルリーダーとなることを強く望んでいる」

 

ロッテルダム港湾局の今回の発表は、港湾と産業の複合体の長期的な開発に関する研究に基づいている。スミッツCEOは、ロッテルダム港のロジスティックスと産業の両面について、健全な未来を描いている。「この二つはお互いに高めあう関係にある。我々の見方では、ロッテルダム港は2030年 には、いわゆる“グローバルハブ”と“ヨーロッパの産業クラスター”を組み合わせた場所となる。“グローバルハブ”とは、欧州域内および欧州と他の大陸と の間の物品のハブを意味する。この中には、コンテナや石油製品などロッテルダムですでに取扱いのある貨物類だけでなく、液化天然ガス(LNG)やバイオマス、二酸化炭素(CO2) などの新しい品目も含まれる。ロッテルダム港がしっかりとチャンスを活用し、また、最も重要な点として、ロッテルダム港とロジスティックスセクターがもっ と賢明かつ効率的に輸送を系統立てることができれば、ロッテルダム港はヨーロッパにおける最も重要な物品のハブとしての地位を強めることができる」これは 主にコンテナセクターの発展に関する話であり、コンテナの取扱量は今後20年間で少なくとも2倍か、あるいは3倍にまで成長するだろう。

 

グローバル競争

石油・化学セクターにおいては、競争相手は北欧の他港ではなく、ヒューストンやシンガポールの生産拠点であり、一段と力をつけてきた中東や極東の生産拠点である。ロッテルダムが2030年にも重要な石油化学クラスターを確保していたいのであれば、この地域における産業をグローバルレベルで競争力のあるものにしなければならない。そのためには、効率性を上げていく必要があり、その意味でもロッテルダムとアントワープ(Antwerp)の各企業間で強力な結びつきを持たせることが必要である。そうすれば、地域内の産業は一つの統合された複合体として機能できるようになる。ポスト原油時代に備えるためには、バイオ色のより強い生産活動へと移行する必要がある」

また、ロッテルダム港はエネルギーの確保においても重要な役割を果たすようになる。オランダの電力のうちロッテルダムにおける発電量は現在15%だが、これを2030年には25%まで引き上げる。「しかし、発電はこれまで以上に持続可能な方法で行う必要がある。このため、二酸化炭素回収・貯留法だけでなく、バイオマスやLNGによる方法も取り入れていく。こうした方法により、ロッテルダム港はオランダと北欧のエネルギーセキュリティーにおける軸としての役割を果たすことになる」とスミッツCEOは言う。

 

持続可能性

ロッテルダム港では、港の持続可能な開発を強く目指している。例えば、ロッテルダムを通過するサプライチェーンは世界一効率性の高いものにしたいし、その恩恵などによって、1トンキロメートルあたりのエコロジカルフットプリントを最も低くしたい。今後数十年間で、産業は第2世 代バイオ燃料の生産増への移行と、バイオを基盤とした化学産業の発展を経験することになる。こうした動きの中には、特に、藻類・酵素テクノロジーの採用な ども含まれるだろう。エネルギー生産においては、バイオマス、風力およびソーラーエネルギーの利用により、化石燃料への依存度が引き下げられるだろう。石 炭はエネルギーセキュリティーのために引き続き必要となるだろうが、気候変動の問題については、発電所で二酸化炭素を回収することで対応していく。スミッ ツCEOは、「成長は開発とイノベーションにとって最大の刺激である。だからこそ、持続可能性のより高い港へと移行することと、港の成長とは両立するのだと私は確信する」と言う。

当然ながら、港の開発は法令の許す範囲内で行われている。さらに、「港ビジョン(草案)」(Draft Port Vision)には、周辺地域の皆様のご迷惑となることがあれば、その主な原因に対処しなければならない旨が明記されている。

 

改革の速度

「港ビジョン(草案)」において、ロッテルダム港湾局は、現在の見通しをもとに、経済活動が活発化しても2030年にマースフラクテ3(Maasvlakte 3)が必要となることはないと説明した。その頃には港はより清潔で、静かで、安全な場所となっていなければならない。プロアクティブでダイナミックな交通管理や、ブランケンブルグ・トンネル(Blankenburg Tunnel)や特にA4ザウト(A4-Zuid)の建設によって、交通渋滞を大幅に減らすことができる。船舶の通行はより効率よく進められるようになる。

ロッテルダム港では、雇用の数が今よりも2万5000件前後(直接的および間接的に)増える。しかも、その雇用は平均的には、よりハイレベルの訓練を必要とするものである。また、海外のビジネスセクターはこの分野に今後20年間で250億〜350億ユーロほどを投資する。しかし、実際にはこれがすべて実現するわけではない。スミッツCEOは (グローバルな)競争を考慮したうえで、機会と脅威にオランダが対応できるだけの組織的な能力と速度について特に懸念し、次のように述べている。「イノ ベーションが絶対的に必要だ。新しいテクノロジーを大規模に取り入れ、より賢明で活発な意思決定組織も大々的に取り入れる。ルールの変更と大幅な単純化も 緊急に求められる。我が国において物事を達成する速度は、劇的に高められなければならない」。達成状況をモニタリングするため、「港ビジョン(草案)」に は、達成アジェンダ、すなわち毎年報告されるべき特定の進捗状況が盛り込まれている。

 

アクセスのしやすさ

スミッツCEOによれば、「港ビジョン」の実現に向けた最大の障害は、当該地域がアクセスしやすいかどうかという点にある。「今後10年間に自分たちが交通渋滞を予防できない事態に陥ることなど、私は受け入れたくない。第一に、交通管理を採用することによって、道路網をもっとうまく活用しなければならない。この目的のため、高速道路A15を担当する交通管理会社(Traffic Management Company for the A15 motorway)に対して、交通規制の実施に際してこれまで以上に大幅な発言権を認める必要がある。第二に、ブランケンブルグ・トンネルやA4ザウトな どの事業について、国は優先順位決定を再度行い、事業資金を融通しなければならない。第三に、私は、この地域における道路価格設定の導入を提案する。この 方法は、終日にわたって道路の交通量を減らし、交通量をより適切に配分する優れた方法として、世界中で使用されている」


オランダ企業にとっての価値

ロッテルダム港はオランダにとって大変重要な港である。現段階におけるこの港の経済的重要性は、直接(間接)的付加価値が222億ユーロ(GNPの3.3%)、直接(間接)的雇用が14万5000人 であることから明らかである。また、ロッテルダム港には戦略的価値もある。それは主に、国際的なアクセスのしやすさの面で貢献していることや、それによっ て、貿易国としてのオランダの存在を強めていることなどである。ロッテルダム港を利用する国際的に著名な企業は、その納入業者に厳しい要求を出す。その結 果、港の外で活動する企業も、こうしたトップクオリティのサービスにアクセスするようになる。ロッテルダム港における2010年の貨物の取扱量は、4億3000万トンに上る。「港ビジョン(草案)」では、港湾公団は2030年のスループットを6億7500万〜7億5000万トン、(間接的)雇用の増加数を2万5000件程度と見込んでいる。

 

デザイン

ロッテルダム港湾局が「港ビジョン2030(草案)」を作成した。ロッテルダム市は作成段階に加わり、十二分に協力した。さまざまな省庁やデルタリンクス(Deltalinqs)もアイデアを出した。オランダ経済政策分析局(Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis = CPB)などのナレッジ機関、港湾で活動する多くの企業、港湾の使用者、ラインモンド環境保護庁(Environmental Protection Agency Rijnmond = DCMR)および多数の自然保護機関との間で、議論も行われた。最終的に、一連の打ち合わせの中では、周辺自治体の住民らとの間で、港湾の未来について議論も行われた。現在提出されているバージョンが草案である。2011年5月末〜7月初めまでの期間に、港湾局はビジョンを広く知らしめることを目的として、各クライアント、当局および社会的組織との間で包括的な議論を行う予定である。2011年末には、ロッテルダム市議会で「港ビジョン2030」を採択することが期待されている。

 

インターネットのサイト http://portcompass2030.com/では、「港ビジョン2030(草案)」の全文とインタラクティブバージョンが閲覧できる。

出所:ロッテルダム港湾局
http://www.portofrotterdam.com/en/Pages/default.aspx
(2011/6)